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肝炎とは‐B型肝炎とC型肝炎

肝臓病(肝炎)とは

肝臓病の原因の代表的なものはウイルスやアルコール、肥満、薬剤、免疫異常、遺伝などがあります。慢性肝炎の大部分は、肝炎ウイルスの感染が原因です。慢性肝炎で炎症が持続し線維化が進行すると肝硬変に至ります。我が国の肝硬変は、約50%がC型肝炎ウイルス、約10%がB型肝炎ウイルスの感染が原因です。また、免疫異常でおこる自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などの自己免疫性肝疾患も肝硬変の原因になる場合もあります。アルコールの飲みすぎや肥満、糖尿病などによって、肝細胞に脂肪が溜まる場合も、肝臓に炎症がおこることがあります。これを脂肪肝炎と呼び、慢性肝炎と同じように線維化が進むと肝硬変になり、肝がんを併発する場合もあります。近年では、肝炎ウイルス感染や自己免疫性肝疾患よりも、脂肪肝炎に起因する肝がんの割合が増加しています。

B型肝炎やC型肝炎は血液を介して感染します。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルス保持者(キャリア)の一部が慢性肝炎、肝硬変、肝がんに進行します。肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれ、肝炎になっても自覚症状がほとんどありません。そのため、気づかないまま肝硬変、肝がんへと病気が進行していきます。肝機能検査値が正常であっても肝がんが発症することがありますのですべてのウイルスキャリアは定期的な検査が必要です。また、ウイルスが消失しても慢性肝炎の経過が長かった人、進行した慢性肝炎や肝硬変では肝がんが出現することもありますので、一生涯定期的な検査が必要です。

『日本肝臓学会編:肝臓病の理解のために 2020年度版』blank
『日本肝臓学会編:慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2019』
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B型肝炎とは?

成人になってB型肝炎ウイルスに感染すると、肝臓の細胞が破壊されて肝臓の働きがわるくなること(急性肝炎)があります。ただし、多くの場合、一過性で自覚症状もでにくいため、気づかないうちに、ウイルスは排除されます。まれに、劇症肝炎など、症状が重くなることがあるため注意が必要です。成人での感染の原因ほとんどはウイルスキャリアとの性交渉です。最近では外国から持ち込まれたタイプの異なるB型肝炎ウイルス(欧米型A)の感染例が増加しており、その場合は成人で感染しても約10%はキャリアになることが問題になっています。

一方、3歳までの乳幼児期にB型肝炎に感染すると持続感染(キャリア)になります。日本人のB型肝炎ウイルスキャリアのほとんどは国による母子感染防止事業が導入される1985年以前に生まれた方で、出生時に母親から赤ちゃんへ感染したと考えられています。一部のキャリアは乳幼児期に受けたワクチン接種などの医療行為からの感染も考えられています。

母子感染または乳幼児期までに感染したキャリアは15歳から30歳頃に肝炎をおこしますが、80~90%のキャリアは終息し肝機能が正常の非活動性キャリアとなります。一方、10~20%のキャリアは肝炎が持続し、慢性肝炎へ進展します。ただし、非活動性キャリアであっても、肝がんを併発することがあります。

B型肝炎の自然経過 イメージ図

『日本肝臓学会編:肝臓病の理解のために 2020年度版』blank
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B型慢性肝炎の治療は

B型慢性肝炎に対する治療の目的は

  1. ウイルスの増殖をおさえること
  2. 肝臓の炎症をおさえること
  3. 重い肝炎の症状や肝硬変、肝がんへの進行をおさえること
ですが、1.のウイルスをおさえることで肝臓の炎症をおさえ、肝硬変や肝がんへの進行を抑えることにつながることから、抗ウイルス薬が治療の主体となります。

B型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス薬は、血中と肝臓の細胞内のウイルス量を減少させる作用がありますが、ウイルスを完全に排除することはできません。HBe抗原が陽性から陰性となり、HBe抗体が陰性から陽性になることを「セロコンバージョン」が起こるといいます。この状態になるとウイルス量が減少して、肝炎が鎮静化する可能性が高くなります。また、ウイルス量とともに、HBs抗原量が低値になると、肝がんが発生する危険が少なくなります。このためB型肝炎の抗ウイルス療法では、HBe抗原・抗体系の「セロコンバージョン」を起こすとともに、血中のHBV-DNA量とHBs抗原量を低下させて、血清ALT値が正常化することを目指します。慢性肝炎ではALT31 IU/l以上かつHBV-DNA 3.3 Log IU/ml以上、肝硬変ではHBV-DNAが陽性であれば抗ウイルス療法の適応です。抗ウイルス薬には、注射薬であるインターフェロン製剤と飲み薬である核酸アナログ製剤を用います。

1 インターフェロン、ペグインターフェロン

インターフェロンはウイルスに直接作用するとともに、身体にも働きかけてウイルスに対する「免疫」を高めることで、ウイルス量を減少させます。筋肉注射、静脈注射のインターフェロン製剤と、週1回の皮下注射でよいペグインターフェロンが治療に使われています。ペグインターフェロンの場合は48週間続けて投与すると、20~40%の患者さんで肝炎が抑えられ、治療を中止してもこの作用が持続します。

インターフェロンが効きやすいかどうかは、患者さんの年齢やウイルスの遺伝型(ゲノタイプ)によって差異がありますので、医師と相談してください。

2 核酸アナログ製剤

核酸アナログ製剤はウイルスが肝臓の細胞の中で増えるのを抑える薬です。ラミブジン、エンテカビル、テノホビル、テノホビルアラフェナミドの4種類の薬があります。1日1回の内服で、血清HBV-DNA量が低下し、AST、ALT値の正常化が見込めます。ただし、服薬を中止するとウイルスが急に増えて、重篤な肝炎を発症する場合があります。また、長期間服用し続けると、B型肝炎ウイルスが突然変異をおこして、薬が効かなくなる耐性変異ウイルスが現れ、肝炎を再発することもあります。耐性変異ウイルスが出現する頻度はラミブジンで高率です。テノホビルは妊娠中や妊娠の可能性がある方に対し胎児への危険性の証拠はないとされ、短期的には副作用がほとんどありませんが、長期的に腎障害や低リン血症による骨軟化症などの副作用のリスクがあります。テノホビルアラフェナミドはテノホビルの改良型でテノホビルよりも副作用の軽減が示されています。以上からB型慢性肝炎・肝硬変に対する第一選択薬はエンテカビルまたはテノホビルアラフェナミドです。
核酸アナログ製剤治療中に薬剤耐性変異のウイルスが出現した場合には、他の製剤を併用します。
服薬する薬の種類、期間などについては、担当する医師の指示に従い、決して自己判断で中止しないでください。

『B型肝炎治療ガイドライン(第4版)2022年6月』blank
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C型肝炎とは?

C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)によって感染して起こる病気です。日本の肝がんの原因でもっとも多いのがC型肝炎で、約6割を占めます。
C型肝炎は慢性化しやすくC型肝炎ウイルスに感染した人の約7割が慢性肝炎を発症し、放置しておくと肝硬変、肝がんへと進展することがあります。肝炎になっても自覚症状がほとんどありません。そのため、気づかないままおよそ20~40年で肝硬変、肝がんへと病気が進行していきます。肝臓の病気の進行には年齢が大きく関係し、男性では60歳以降、女性では70歳以降に肝硬変、肝がんに至る場合が多く、さらに高齢の患者さんでは、肝硬変になるまえに、慢性肝炎から肝がんができることが多いことがわかってきました。肝硬変に進行すると年率5~8%の頻度で肝がんが発生します。つまり肝硬変を10年間経過観察すると約5~8割が肝がんを合併することになります。飲酒、肥満、糖尿病などの要因が加わると肝臓病の進行が早まることが知られています。また、インターフェロンや直接作用型抗ウイルス薬などの抗ウイルス療法でC型肝炎ウイルスを排除すると、肝がんが発生する頻度は低下しますが、とくに、高齢な患者さん、肝硬変まで進行している患者さんでは、ウイルス排除後も肝がんができる可能性が低くありませんので、定期的な検査を受ける必要があります。

以上からできるだけ早めに治療してウイルスを排除することが肝がんの予防となります。

C型肝炎の進行 イメージ図

『日本肝臓学会編:肝臓病の理解のために 2020年度版』blank
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C型肝炎の治療は

C型慢性肝炎の治療の目標は、肝臓病が進んで肝硬変や肝がんになってしまわないようにすることです。このためには、抗ウイルス療法によってウイルスを排除し、肝臓病の進行を止めることが大切です。また、ウイルスの排除がうまくできなかった場合、副作用で抗ウイルス療法を中止してしまった場合、他の病気などの理由で抗ウイルス療法を受けられない場合などには、肝臓の炎症を抑える肝庇護療法を行うことで、肝臓病の進行を遅らせることができます。

近年、副作用が少ない「飲み薬」が増えてきており、95%以上の確率でウイルス排除が期待できます。ウイルスが排除できなかった場合は耐性ウイルスができ、その後の治療が難しくなることがありますので注意が必要です。

主な治療方法

1 抗ウイルス療法

ウイルスを排除する治療には、以前用いられていたインターフェロンは有効性や副作用の面から、最近では用いられなくなり、現在は「飲み薬」だけの直接作動型抗ウイルス薬あるいは経口抗ウイルス薬のリバビリンとの組み合わせで行われます。

(1)直接作動型抗ウイルス薬(DAA)
C型肝炎ウイルスが肝臓の細胞内で増える過程を直接抑制する飲み薬です。現在推奨されている直接作動型抗ウイルス薬はハーボニー(ソホスブビルとレディパスビルの配合薬)、マヴィレット(グレカプレビル/ピブレンタスビル配合薬)、エプクルーサ(ソホスブビル/ベルパタスビル配合剤)などがあります。
(2)リバビリン
リバビリンはインターフェロンや直接作動型抗ウイルス薬と併用することで、これら薬の作用を良くする飲み薬です。

C型慢性肝炎、肝硬変の治療は複数の直接作動型抗ウイルス薬が主流となりました。どの薬剤を用いるかは、今までの治療歴、肝硬変の状態、重度の腎障害の有無、C型肝炎ウイルス型(ゲノタイプ)などによって決まります。また、治療前に薬に対するウイルスの感受性(ウイルス変異)を調べることもあります。
直接作動型抗ウイルス薬には副作用がほとんどありませんが、ほかの疾患で服用している薬との併用で危険な副作用が出現したり、ウイルスを排除する効力が低下することがあります。また腎機能が低下している場合は使用できない薬もあります。これらの治療は大変専門性の高い治療法ですので、医師と相談して、治療を受けることが大切です。C型肝炎治療の項目詳しくはコチラ>>を参照してください
2 肝臓の炎症を抑える治療

肝臓の炎症を抑え、肝臓の機能を保つことは、肝硬変進展および肝細胞がんの発生を抑制することになります。血清ALTが高値で抗ウイルス療法が困難な患者さんでは肝庇護薬などで治療を行います。グリチルリチン酸製剤(強力ミノファーゲンC静脈注射)やウルソデオキシコール酸などの肝庇護薬には、肝臓の炎症を抑える作用があります。またC型肝炎では、肝臓に蓄積された鉄分により活性酸素が発生し、肝炎症状の悪化を招きます。このため肝臓に蓄積された鉄分を減らすための治療として瀉血療法があります。あくまで肝炎の進行を抑え肝硬変及び肝がんへの移行を防ぐための治療法であり、肝炎自体の治癒を目的とするものではありません。また、食事でも鉄分を多く含む食品をできるだけ取らないようにします。

『C型肝炎治療ガイドライン 2022年5月 第8.1版』blank

『日本肝臓学会編:肝臓病の理解のために 2020年度版』blank
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ウイルス性肝炎での日常生活で注意すること

安静について~日常生活はできるだけふつうに

慢性肝炎や症状がない肝硬変では安静にする必要はなく、運動制限もありません。体力の保持のためにはむしろ適度の運動を心がけましょう。

食事はバランスよく

偏った食事や暴飲暴食は肝臓に負担をかけるため、バランスのとれた規則正しい食生活を心がけましょう。特に蛋白質は、肉や魚以外に大豆などの植物性のものを含め、いろいろな食品からとるようにしましょう。鉄分の多い食品、アルコールは控えてください。また保存料や着色料などの添加物が含まれているインスタント食品、スナック菓子は肝臓に負担をかけることがあり、できる限り避けてください。

肥満にならないよう

肥満、糖尿病、飲酒などで肝臓に脂肪が溜まると、肝硬変への進行が早くなり、肝がんができるリスクも高まります。このため、適度な運動を行い、食べすぎによる体重増加に注意してください。

他の人に感染させないためには

B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染します。特にB型肝炎は血液中のウイルス量が多く、キャリアの方は性交渉パートナーへの感染に注意する必要があります。このためパートナーにはワクチン接種などで感染を予防することをお勧めします。一方、C型肝炎ウイルスは血液中のウイルス量は非常に少なく、性交渉パートナーへの感染はほとんどないといわれています。B型肝炎ウイルスもC型肝炎ウイルスも食事、入浴などの日常生活では、家族内で感染することは通常はありません。ただし、歯ブラシ、剃刀、歯磨きなど出血の可能性がある生活備品は、家族内で共有しないようにしてください。また乳幼児への飲食物の口うつしは控えてください。血液や分泌物がついたものは、しっかりくるんで捨てるか、流水でよく洗ってください。外傷、鼻血などの出血は自分で手当てし、手当てを受ける場合は、手当てする人に血液がつかないように注意し、血液がついても洗い流せば問題ありません。

『日本肝臓学会編:肝臓病の理解のために 2020年度版』一部追加blank
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