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肝がんの診断と治療

 
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肝がんの診断と治療

腫瘍マーカー測定や超音波、さらに製鉄記念病院との連携によるCT、MRIを駆使して微小な肝がんの診断につとめます。肝がん診断時は適切な治療をご提案いたします。

肝細胞がんとは?

肝臓を構成する主な細胞である肝細胞が悪性化しておこるがんです。
全く正常な肝臓からが肝臓がんができることはまれで、日本では肝細胞がんの原因の約70%がウイルス性肝炎(60%がC型肝炎、10%がB型肝炎)、約30%が非ウイルス性肝疾患(アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝疾患など)です。近年、非ウイルス性肝疾患による肝細胞がんが増加しています。以上のように肝細胞がんの危険因子はC型肝炎、B型肝炎、アルコール摂取、肥満や糖尿病や脂質異常症などの非アルコール性脂肪肝炎、慢性肝炎、肝硬変などがあげられ、肝細胞がんの早期発見するためには上記疾患の患者さんの定期検査が重要です。
現在、肝細胞がんには手術(肝切除)以外にもさまざまな治療法が開発されており、肝細胞がんの個数や大きさ、肝臓の状態に応じた治療がおこなわれます。しかしながら、治療後に再び肝細胞がんが発見されること(再発)が多いことや治療後5年以降でも10年以降でも再発することがあるのも肝細胞がんの特徴です。そのため、再発を早く発見し、効果の高い(根治的)治療を受ける機会を逸しないためにも、定期的な検査が重要です。

肝細胞がんの予防

肝細胞がんの予防するためには肝細胞がんの原因である基礎疾患の治療を行うことです。C型肝炎とB型肝炎に対しては抗ウイルス療法、アルコール性肝障害では禁酒、非アルコール性脂肪性肝疾患では肥満や糖尿病の是正です。

1.肝炎ウイルスを抑える治療

肝炎ウイルスの感染が肝細胞がんの発生に関係しているため、肝炎ウイルスを排除できれば、肝機能も改善し肝細胞がんの発生を抑制できるといわれています。また肝細胞がんの治療後の再発を抑える効果もあります。

1.インターフェロン製剤による治療
インターフェロンとは、ウイルスに感染したときにウイルス排除のため体内でつくられるたんぱく質です。インターフェロン製剤には、肝炎ウイルスを排除する作用に加えて直接的な抗腫瘍作用もあります。
2.直接作用型抗ウィルス薬による治療
C型肝炎ウィルスの増殖において必須となる蛋白質の活性を直接阻害する新しい経口の薬剤で直接作用型抗ウィルス剤(DAA製剤)と呼ばれています。インターフェロンと併用してつかわれていましたが、現在はインターフェロンを用いず主に2種類の薬剤を組み合わせて治療することにより副作用が少なく高い治療効果を得ることができるようになっています。
3.核酸アナログ製剤による治療
B型肝炎ウイルスが増殖するために行うDNAの合成を邪魔する作用をもつ核酸アナログ製剤があります。肝機能の改善と肝細胞がんを予防するために、ALT(GPT)31 IU/ ±以上でHBV-DNA量 4.0 logcopies/ml以上のB型慢性肝炎やHBVDNA陽性のB型肝硬変に用いられます。

2.肝臓の炎症を抑える治療

肝臓の炎症は肝細胞を傷つけ、肝炎が持続すると肝細胞がんの発生する可能性がより高い進行した慢性肝炎や肝硬変へと進行させてしまいます。
肝臓の炎症を抑え、肝臓の機能を保つことは、肝硬変進展および肝細胞がんの発生を抑制することになります。ウイルス性肝炎が原因であれば前掲の抗ウイルス療法が効果的ですが、抗ウイルス療法が困難な患者さんや非ウイルス性肝疾患では肝庇護薬などで治療を行います。
グリチルリチン酸製剤やウルソデオキコール酸製剤などの肝庇護薬には、肝臓の炎症を抑える作用があります。肝硬変に対して用いられる分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤にも、肝臓の機能を維持し、発癌を促進すると考えられているインスリン抵抗性を改善することにより再発を抑制することが報告されています。

3.生活習慣病の治療

非ウイルス性肝疾患による肝細胞がんが増加しています。
アルコール性肝障害や、肥満、糖尿病、脂質異常症などが原因の非アルコール性脂肪肝炎から肝硬変や肝細胞がんに進行します。そのため禁酒や体重減少、糖尿病や脂質異常症の治療が重要です。

肝細胞がんの再発予防

肝細胞がんに対して手術(肝切除)やラジオ波熱凝固療法(RFA)などによる根治的治療をおこなった後の肝細胞がん再発を予防するための治療は、前述の肝細胞がんの予防のための治療と全く同様であり、抗ウイルス療法や、肝庇護薬などの肝臓の炎症を抑える治療、生活習慣病の治療を行います。

肝硬変と肝細胞がんとの関係は?

ウイルス性肝炎や脂肪肝炎、自己免疫性肝疾患など、どの肝臓病でも破壊された細胞の跡を埋めるために線維が肝臓内に溜まってきます。これが肝線維化で、進展すると肝臓が結節をつくり硬くなって肝硬変になります。肝硬変が進行すると、浮腫(むくみ)、腹水、黄疸などの症状がみられるようになります。食道胃静脈瘤や門脈圧亢進による胃腸症などの消化管病変を併発すると、静脈瘤の破たんや腸管粘膜のうっ血から出血し、吐血や下血がおこることもあります。また肝硬変になると肝細胞がんが発生しやすくなります。
肝硬変の原因により肝細胞がんの発生の頻度は異なります。肝細胞がんを発生する頻度が多い順にウイルス性肝炎(C型肝炎>B型肝炎)>脂肪肝炎(非アルコール性、アルコール性)>自己免疫性肝疾患です。

肝細胞がんの治療法

肝細胞がんに対する治療法は、肝細胞がんの大きさと個数、肝臓の障害度に応じて選択されます。日本では、以下のような選択基準(肝細胞がん治療アルゴリズム)があります。

肝細胞がんの治療法には、手術(肝切除)、[穿刺]局所療法、肝動脈カテーテル療法(肝動脈塞栓療法、肝動注化学療法など)、分子標的治療薬などの抗がん剤による化学療法があります。これらの中から、肝細胞がんの大きさや個数などにより、適切な治療法が選択され、必要に応じて組み合わされます。肝臓の機能障害が軽度で、肝細胞がんが小さく、数が少ないほど、効果が高く、身体的に負担の少ない治療法を選択できます。肝臓の機能障害が高度(進行した肝硬変)の場合は肝移植や緩和ケアが行われる場合もあります。

1.手術(肝切除)

お腹を切って開き(開腹)、肝細胞がんと肝細胞がんが転移している可能性がある範囲を含めて切除(系統的切除)することが基本とされています。肝細胞がんの位置、浸潤の有無、個数、肝機能の状態などに応じて、マイクロ波凝固療法(MCT)やラジオ波焼灼療法(RFA)などと組み合わせて行われることもあります。手術は、肝臓を直接みて、超音波(エコー)を使いながら行うため、手術前の検査ではわからなかった肝細胞がんも治療することができ、さらに、今ある肝細胞がんだけでなく、その周辺の今はみつけられないほど小さな肝細胞がんが転移している可能性のある領域を切除することができるため、もっとも効果の高い(根治的)治療法であるといわれています。また、限定的ですが腹腔鏡を用いることで、お腹の切る範囲を小さくし、身体的負担を軽減する方法が用いられることもあります。さらに肝機能や肝腫瘍の状態により肝移植が選択されることもあります。

2.穿刺局所療法

穿刺局所療法は、一般に超音波(エコー)で肝細胞がんの位置を確認しながら、開腹せずにお腹の皮膚から肝細胞がんまでとどく少し長い針をさして、熱や薬で肝細胞がんを壊死させる治療法です。
肝細胞がんの位置確認にCTや腹腔鏡を用いたり、手術中に行うこともあります。
穿刺局所療法には、ラジオ波焼灼術(RFA)、マイクロ波熱凝固療法(MCT)、エタノール注入療法(PEIT)などがあり、開腹せずに行うことができるため身体的負担を少なくできます。近年、もっとも汎用されているラジオ波焼灼術(RFA)は、小さな肝細胞がんに対して効果の高い治療法であるといわれています。
また、少し大きな肝細胞がんに対して行う場合には、肝動脈塞栓療法(TACE)と組み合わせて行われることがあります。

 ◆ラジオ波焼灼術(RFA)

電極針を肝細胞がんにさし、ラジオ波を照射して肝細胞がんを焼く治療法です。手術中に肝切除と組み合わせて行われることもありますが、図のようにお腹の皮膚の上から超音波(エコー)で肝細胞がんの位置を確認して行うことができます。
穿刺局所療法の中では、もっとも効果が高いといわれています。

3.肝動脈塞栓療法(TACE)

肝動脈塞栓療法(TACE)は、肝細胞がんに血液を送り増殖するために必要な栄養を与えている血管(栄養血管)を詰物(塞栓物質)で遮断する治療法です。
X線検査を受けながら、カテーテルとよばれる細い管を足の付け根から動脈に挿入し、肝細胞がんのそばまでカテーテルを到達させてから、抗がん剤や油性の造影剤と一緒に塞栓物質を栄養血管の中に流し込みます。
そのほか、抗癌剤を吸着させた球状の塞栓物質(薬剤溶出性ビーズ)を用いることもあります。
肝細胞がんは血液の遮断による効果と抗がん剤による効果によって壊死しますが、効果が不十分であればがん細胞は一部残り、再発の原因となります。

4.肝動注化学療法(TAI、HAIC)

肝動注化学療法(TAI)は、動脈の中にカテーテルとよばれる細い管を通し、抗がん剤を肝細胞がんの近くから流し込む治療法です。
抗がん剤を繰り返し投与できるように"ポート"とよばれる器具をお腹や胸の皮下に埋め込み、そこから抗がん剤をカテーテルに注入することもあります(HAIC)。
肝細胞がんが多発していて、[穿刺]局所療法の対象とならない場合などに行われます。

5.放射線療法

肝細胞がんに放射線を照射して壊死させる治療法です。肝臓内の肝細胞がんで手術や穿刺局所治療が困難ながんや肝臓に流入する門脈などの脈管に浸潤した進行したがんに対して行われます。保険治療で行われる放射線治療と保険外治療の重粒子線や陽子線を用いる放射線療法があります。また、肝臓の外(骨や脳)に転移してしまった肝細胞がんに対しても行われます。

6.内服薬の化学療法

肝臓の機能は比較的良い状態であるのに、手術(肝切除)や[穿刺]局所療法の対象とならない大きな肝細胞がんや多発した肝細胞がんで、肝動脈塞栓療法などでは治療効果が十分に得られない場合や肝臓以外にも転移してしまった場合などに抗がん剤である分子標的治療薬が用いられます。この分子標的治療薬は、一般名ソラフェニブ(商品名はネクサバール)で2009年より使用されています。肝細胞がんに直接作用して増殖を抑制する効果と肝細胞がんに栄養を与える血管に作用して肝細胞がんの増殖を抑制する効果があります。ただし、すべての肝細胞がんに効果があるわけではありません。副作用が発現することがあるので、担当の先生の指示を守って服用しなければなりません。

「バイエル薬品㈱ http://www.nexavar.jp/より一部引用」

肝細胞がんをみつけるための検査は?

肝細胞がんは、肝臓の組織とは異なる特徴をもっています。
早期の小さな肝細胞がんは一部の特徴しか示しませんが、大きくなるとほとんどの特徴を示すようになります。
肝細胞がんの再発をみつけるために、肝細胞がんの特徴があらわれていなかどうかを血液や画像を用いて検査します。

血液検査と画像を用いる検査の種類

血液検査 画像を用いる検査
  • 腫瘍マーカー
    (AFP、AFP-L3、PIVKA-II)
  • 超音波検査
  • CT検査
  • MRI検査

1.血液検査

採血した血液中の腫瘍マーカーとよばれるAFP、AFP-L3、PIVKA-Ⅱの値を測定します。腫瘍マーカーは肝細胞がんが発生すると増加する物質です。しかしながら、AFPの値は慢性肝炎や肝硬変でも高い値を示すことがあり、AFP-L3やPIVKA-Ⅱでも他の要因で高い値を示すことがあります。また、すべての肝細胞がんで腫瘍マーカーの値が高くなるとはかぎりません。そのため定期的に画像を用いる検査(超音波検査、CT検査、MRI検査)を併用する必要があります。

2.超音波検査

プローブとよばれる器具を直接お腹の皮膚にあてて肝臓にあたって跳ね返ってくる超音波(エコー)を画像にします。静脈から超音波用造影剤を投与して検査を行う場合もあります。放射線被曝がなく簡便に行えることが利点ですが、超音波(エコー)が届かず、みえにくい場所(死角)があることや超音波検査装置や操作する人の技術が影響することなどが欠点です。CT検査やMRI検査と組み合わせて再発の有無を確認する必要があります。

3.CT検査

放射線(X線)を使って、肝臓の断面像を得る検査です。
通常、CT検査用の造影剤を静脈から投与して検査を行います。
CT検査は、比較的短時間で行うことができ、超音波検査のようなみえにくい場所(死角)がないことが利点です。一方、放射線被曝があること、血流が増えていない肝細胞がんの発見が難しいこと、造影剤の禁忌に相当する患者さん(造影剤アレルギーや腎不全など)には実施できないことなどが欠点です。

4.MRI検査

電磁波を用いて断面像を得る検査です。MRI装置は、CT装置を少し大きくしたような形をしていますが、検査時間はCTより長くかかります。
体内にペースメーカーなどの金属が入っているとできません。また、CTと同様にMRI検査用の造影剤を静脈から投与して検査を行いますが、腎不全があると造影剤が使用できないこともあります。
CTよりも感度が高く、1cm以下の微小肝がんも検出されます。さらにCT検査のような放射線被曝がない利点もあります。

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